幾望報

きねもておもちつけ

読み餅

前回のエントリーから200日が経過したが、その間に何が起こったかというと、特段何も起こっていない。

相変わらず時間がない。というか輪をかけて時間がない。

実は3月までは子育てを理由に時間減での勤務形態だったのだが、4月から完全復帰を選択してしまったとたん、あれよあれよと仕事が増え、残業も当たり前になり、3月までと比べると退勤が毎日4~5時間遅くなった。もちろんその分給料は増えるのだが、いや増えたとて、増えたとて……と思いながら過ごした。

懸念していたのは子どもと過ごす時間がそれだけ短くなることだが、まあなんとか隙間を縫ってペロペロした甲斐あり愛着形成はできているようなので、引き続き濃厚接触の機会を逃さないようにしたい。

とはいえ仕事にかまけて子供と触れ合えないのは我ながら言語道断、増えて給料数万円いかほどのものぞと表情を厳しくしてそれなりに励んだ。おかげで退勤時間は少しずつ早くなりつつある。濃厚接触しつつ子供が早く寝られるためには、大人が頑張らんといかん。などと張り切りすぎた結果腰痛が悪化した。現在リハビリに通っている。

 

そのような具合で結局なんだか時間はない。録画の件数はたまる一方だし、漫画は棚からあふれ平積みされかかっている。ゲームの進捗はほとんどなく、あれほど楽しんでいたサクナヒメも終盤で止まってしまった。かろうじて体調維持のためリングフィットは続けるようにしていたが、これも腰痛でストップした。

子供が着々と大きくなるというだけで自分のことは何一つ進んでいない。結婚したオタクはこうしてじわじわと死に至るのだなという思いを確かにする。

 

いやしかし、何一つは言いすぎた。

余人にとっては微々たることだが、この間に少しだけ本を読めた。

 

・三体

読めた。Ⅰで衝撃を受け、Ⅱ発売に合わせて買うも、気が乗らずずっと寝かせていた。それがもうⅢが出るというので矢も楯もたまらず、Ⅱを読み出した。Ⅲを買って目の前に置いておき、Ⅱを読めばⅢを読める、Ⅱを読めばⅢを読める…と当たり前のことを呪文のように頭で繰り返して、なんとか遅々たる歩みを進めた。非常に面白かった。自身、SF小説の造詣はまったく持ち合わせていないのだが、これまで見てきた漫画やアニメの知識でなんとかかんとか読めたように思う。返す返すいい小説だった。

 

時をかける少女

オタクは古典的名作を読まねばならないという観念のもとそれらを手元に置くところまではよいが、置いてあるだけで満足してしまうので本当によくない生き物だと思う。

読んだ。60年前の作品ということに衝撃を受ける。もちろん、セリフ回しやキャラクター像は時代なりだけども、これまで様々なメディア作品に形を変えて各時代に受け入れられてきただけはある、非常に懐の深い作品だった。実は恥ずかしながら筒井康隆は初めて読んだ。オタクは古典(略)虚航船団や只野教授も手元にはあるので、ちゃんと読もうと思う。

 

・チーズと塩と豆と

前から飛び飛びで読んでいたものを終わらせた。女性作家4名による、ヨーロッパを舞台にした愛と食にまつわるアンソロジー。だいたい主人公が家族を嫌ってたり不倫したりフラれたり喧嘩したりしてる。でもいつもそこには食事がある。どれもいい短編だった。それぞれの作家を大して読んでいないので作者の色まではわからないが、どれも人々の暮らしに根差した視座で食と人間を描いていくので、たは~どんだけ取材したんやろうか、それとも趣味やろうか、かなわんなと思いながら読んだ。美味しそうな料理が山ほど出てくる。ヨーロッパでうまい飯と酒を飲みたいという気持ちになった。

 

食堂かたつむり

今読んでる。やさしい小説だが、主人公が冒頭からひどい目に遭う。今は嫌がらせを受けるところまで読んで気分が落ち込んでる。もう少し健康的な時間に読もうと思う。

 

時間がないないとは言ってもそうした時間は大抵Twitterに食われていることが多い。Twitterを閉じれば読書は進む。しかしながらタイムラインを日々流れるおちんちんやおっぱいといった無為な単語が私の心を癒していることを誰が否定できよう。いったい誰が……

 

要するにオタクはキモく、Twitterと労働は悪という話である。