がらくた餅
がらくたが好きだ。好きすぎてあまり理解されない。
逆に聞くがみんな正気なのか? がらくただぞ。そんなもの、いいものに決まっている。
まずもって名前がいい。
がら、としていて、くた、としているのだ。
いい×いい=とてもいい、というわけだ。
ありがとう、わかってもらえて幸いだ。
がらくたには物としての歴史がある。辿ってきた道筋がある。その果てに、こんな、よくわからないごみという扱いをされて、野に蔵に打ち捨てられているわけだ。
しかしよく考えてもみてもらいたいが、こんなの二次元の世界だったら酒場で管を巻いているがあとで仲間になる古参兵か、在りし日の経験から旅路に重要な助言をくれる村はずれの古老だ。そんなもの悪いわけがない。いい加減にしてくれ。
みんな目を覚ますんだ。
がらくたはいいぞ。大変いい。
鉄に錆び、木には擦れ、布にも褪せなどあればなおいい。
その点プラスチックは経年劣化ですでに形が崩壊してしまってから見つかるものも多い。これは残念だ。なんとなれば、プラスチックという素材ががらくたという形態に耐え得るものではないのだ。この実用に特化した太く短い製品としての生は潔くもあるが、情けなくもある。
もう言ってしまえば生き急ぐ軟弱者である。がらくたと成り得るべく物としての厚みがないのだ。今後の身の振り様を考えたほうが良い。
みんなはどんながらくたが好きだろうか。私は木の道具が好きだが、鉄もまた好きだ。そのため木と鉄が組み合わさったがらくたが見つかるともう走り出したくなる。何度でも言うが、いい×いい=とてもいい、だ。
みんなも走り出したくはならないものか。がらくたはいいぞ。これはとてもいいものなんだ。
なんならがらくたはいいという主張のためにこんなものまで作った。
まだ少ないが順次がらくたを増やしていきたい。